つらつら描きたいことだけ

23才 読書も手帳も文房具もすき。だいすきなものだけたくさんつめこみたい。

世界の果てのこどもたち/中脇 初枝

・2016年本屋大賞 第3位 ※(下記参照)

をとった、私が今まで読んだ本の中で最も好きな?(好きだけど、好きっていうのは、少し違うし、心に残るという表現でも何故か軽く感じるけれど)本です。

 

私がこの本と出会ったのは高校の図書室でした。


 

 

あらすじ


戦時中、高知県から親に連れられて満洲にやってきた珠子。言葉も通じない場所での新しい生活に馴染んでいく中、彼女は朝鮮人の美子(ミジャ)と、恵まれた家庭で育った茉莉と出会う。お互いが何人なのかも知らなかった幼い三人は、あることをきっかけに友情で結ばれる。しかし終戦が訪れ、珠子は中国戦争孤児になってしまう。美子は日本で差別を受け、茉莉は横浜の空襲で家族を失い、三人は別々の人生を歩むことになった。

『世界の果てのこどもたち』(中脇 初枝)|講談社BOOK倶楽部 (kodansha.co.jp)

 

 

私と本との出会い

中学生のころから、戦争の本ばかり読んでいた、高校生の私。

そんな私に「つばさちゃんが絶対に好きな本があるよ」と高校の図書館司書の方が薦めてくださった1冊。

当時の私は、本屋大賞は知らなかったし、中脇初枝さんも知らなかったし、当時沖縄戦の本を中心に読んでいたため、満州開拓団のことについてもわずな知識でした。

高校生では図書館で借り、大人になってから単行本、文庫本を購入し、友人、恋人、母親にも読ませました。

 

 

感想(ネタバレあり)

・高校生のときは、戦争関連の本ばかり読んでいたせいか、この本が3人の子供たちにとって、凄惨な様子が描かれているのに、その様子が頭に入ってきていなかった。

 

・大人になってから読むと、

 珠子は戦争が終わった後の混乱から生き延びるが、収容所で誘拐され、中国人の養父母に育てられる。

 美子は日本へ渡り、在日朝鮮人として生きる。

 茉莉は空襲で家族を亡くし、施設で育てられる。

 3人ともに差別や貧困の中でも力強く生きていくことがわかった。

 

・戦争というものは人の死をつくり、憎しみ悲しみを生む。

 大人でもせつなく悲しく、言葉に表せない気持ち、子供達には重たすぎる。(こどもだからこそ、人生をかえられたという面もあるが)

 この時代に生きた人たちはほんとにすごい。

 

・茉莉が理容師として働きはじめた時、朝比奈の家の息子(勝士)が約束通り迎えに来た。

 茉莉は「私は幸せになってはいけない」と拒むが、2人で幸せになってほしかった気持ちもある。

 

・珠子は日本人ということを忘れかけ、日本語を話せなくなるが、美子、茉莉が「日本語を日本人の記憶を忘れなきゃいけなかった。」旨のことを言うが本当にその通りなのだと思った。

 珠子は中国人の養父母んため「日本鬼子」と言われないために、勉学に励み、1番で卒業して自分は中国人だと、この両親のために…と生きていたのだと思った。

 

・3人で再開した時には、涙が出た。3人で会ったのは茉莉が父の付き添いで満州に行った数日間だけなのに、3人共覚えていて、何十年経ってもお互いのことを思って探し続けていた。

 やっとあえて、つもる話もたくさんあるだろうに珠子は日本語をわからなくて。やるせなくて、せつなくて、何とも言えない気持ちになる。

 

・珠子を育てた養父母。日本のことをよく思っていないだろうに、珠子のために、身を粉にして働き育てた。

 人種なんて関係ない。どこので生まれて、男か女だなんて。

 そんなのを気にするほうがおかしいのではないか。

 

 

まとめ

・1つの小さなことがきっかけで人生が大きく変わり、

  「あの時、〇〇をしていたら」なんて後悔しても今を生きなければならない。

と戦争関連のものを読むといつも感じる。

・あの時、家にいなかったら、家の下敷きになり、死ぬことはなかったとか。

 あの時、爆心地に近い学校にいなかったら。

 あの時出征していなかったら。

 

・今もこれからも、過去の事実を知り、語り継がなければならない。

 後世に伝えていかなければならない。

 

 

 

※2016年本屋大賞

第1位 羊と鋼の森 / 宮下 奈都

第2位 君の膵臓を食べたい / 住野 よる

第3位 世界の果てのこどもたち / 中脇 初枝

第4位 永い言い訳 / 西川 美和

第5位 朝が来る / 辻村 深月